会社の業績が伸びていなかったり、採用や予算、組織体制に変化が出ていたりすると、
「この会社に残っていて大丈夫だろうか」
「本当に厳しくなってから転職活動を始めるのでは遅いのではないか」
と不安になることがあります。
私自身、外資系企業で働いていたときに、日本市場からの撤退を経験しました。
ただ、会社の将来に不安を感じたからといって、すぐに退職や転職を決める必要はないと思っています。
一方で、不安が続いているのに、何も確認せずに働き続ける必要もありません。
会社の将来は自分でコントロールできないこともありますが、自分が次に動けるよう準備することはコントロールできます。
この記事では、日本市場からの撤退を経験した私が、会社の将来に不安を感じたときの考え方と、退職を決める前に始めたい準備を解説します。
会社の将来が不安でも、すぐ転職する必要はない
会社の将来に不安を感じることと、実際に退職・転職することは分けて考える必要があります。
例えば、採用が一時的に止まったり、予算が縮小されたりしても、それだけで会社の経営が危険な状態だとは断定できません。
一時的な投資調整や組織再編、採用方針の変更である可能性もあります。
また、自分が感じた違和感が正しいとも限りません。
だからといって、「考えすぎかもしれない」と何もせずに不安を抱え続ける必要もありません。
会社に不安を感じたときは、次の3段階を分けて考えることが大切です。
- 会社に不安を感じる
- 転職の準備を始める
- 実際に退職・転職する
不安を感じたからといって、すぐ3番目まで進む必要はありません。
ただし、求人を見る、転職市場を調べる、職務経歴書を更新するといった2番目の準備は、始めても早すぎないと思います。
転職準備を始めることは、今の会社を辞めると決めることではありません。
私は外資系企業で日本市場撤退を経験した
私が勤務していた外資系企業は、グローバルでは事業を継続しながら、日本市場から撤退することになりました。
会社そのものが倒産したわけではありません。
外資系企業が事業戦略を見直し、日本市場から撤退したという経験です。
撤退前から日本市場の厳しさは感じていた
当時、私は日本チームのマネージャーを務めていました。
上司とは日頃から日本市場の状況について話しており、日本で数字が伸び悩んでいることはある程度認識していました。
そのため、撤退は完全な青天の霹靂ではありませんでした。
もちろん、会社の最終的な経営判断を事前に把握していたわけではありません。
それでも、日々仕事をする中で、日本市場の先行きが厳しい可能性は感じていました。
採用・予算・組織体制に変化が重なっていた
撤退前には、日本市場の数字だけでなく、採用や予算、組織体制にも複数の変化が出ていました。
会社方針の変更も重なり、チーム内にも「少し危ないかもしれない」という空気がありました。
ただし、採用停止や予算縮小、組織変更のどれか一つがあれば、撤退や倒産が近いという意味ではありません。
会社にはさまざまな事情があります。
大切なのは、特定の出来事だけで結論を出すのではなく、自分が何に不安を感じているのかを整理することです。
実際に転職活動を始めたのは撤退決定後だった
当時の私は、日本市場からの撤退と退職日が正式に決まった後、転職エージェントへ登録しました。
そこで、現在の転職市場や自分に合う求人を確認し、紹介を受けながら転職活動を進めました。
つまり、撤退の可能性を感じた段階から動いていたわけではありません。
しかし、今振り返ると、会社の先行きに不安を感じた段階で、求人を見たり、職務経歴書を更新したりしてもよかったと思っています。
転職を決める必要はなくても、外にどのような選択肢があるかを知っておけば、撤退が正式に決まった後も、もう少し落ち着いて動けたかもしれません。
撤退が決まったとき、最初に考えたのは収入と生活だった
日本市場からの撤退を知ったとき、最初に考えたのは、理想的なキャリアプランではありませんでした。
「これからの収入をどうするか」
「次の仕事が決まるまで、生活をどう維持するか」
という現実的な問題です。
当時はすでに結婚しており、妻と二人で生活していました。
自分一人の仕事の問題ではなく、家計や今後の生活にも影響します。
私が勤めていた会社では、会社都合の日本撤退に伴い、一定期間の給与補填があり、その期間で次の仕事を探す形になりました。
ただし、これは私が勤めていた会社での対応です。
外資系企業なら、撤退時に必ず同じような補償を受けられるわけではありません。
会社の将来に不安を感じた段階で、すぐに退職する必要はありません。
それでも、現在の生活費や貯蓄、次の仕事が決まるまでに必要な期間を確認しておくことは、現実的な準備になります。
会社の将来と自分のキャリアは分けて考える
日本市場からの撤退を経験すると、
「この会社で働いた時間は無駄だったのではないか」
「会社の事業が続かなかったのだから、自分のキャリアも失敗だったのではないか」
と考えてしまう人もいるかもしれません。
しかし、会社の事業判断と、そこで働いた個人が得た経験は別です。
会社が続かなかったことと、働いた経験の価値は別
私が働いていた会社は、日本市場から撤退しました。
一方で、そこで働いた経験までなくなったわけではありません。
私はその会社で、営業プレイヤーとして仕事をし、営業力を鍛えました。
その後はマネージャーを経験し、チームやメンバーを見る立場にもなりました。
会社の事業が続かなかったからといって、そこで積んだ経験までなくなるわけではありません。
会社がどのような判断をしたかとは別に、自分が何を経験し、何ができるようになったかは、その後のキャリアにも持っていけます。
営業とマネジメントの経験は次のキャリアにも残った
日本市場の撤退自体は、自分では変えられない経営判断でした。
しかし、その会社で得た営業やマネジメントの経験は、次の仕事を探す際にも自分の経験として説明できました。
会社の将来が不安になったときは、会社側の状況だけでなく、現在の環境で自分が何を得ているかも整理しておくことが大切です。
- どのような仕事を担当したか
- どのような成果を出したか
- どのような問題を解決したか
- どのような役割を任されたか
- 別の会社でも使えそうな経験は何か
会社の先行きに不安があっても、そこで得た経験まで否定する必要はありません。
会社の将来に不安を感じたら、辞める前に準備する
会社の将来が不安になったとき、すぐ退職するか、そのまま残るかの二択にする必要はありません。
退職を決める前に、自分の選択肢を増やすための準備ができます。
自分が何に不安を感じているのか整理する
まずは、漠然とした不安を分けて考えます。
- 会社や事業の業績が伸びていない
- 採用や予算の方針が変わった
- 組織変更や退職者が続いている
- 経営方針の変更が増えた
- 自分が今後積める経験が見えない
- 現在の仕事や収入が続くか不安
これらを採点し、「何個当てはまったら危険」と判断するものではありません。
一つの出来事だけで会社の将来を決めつけず、自分の不安が会社の経営状態に対するものなのか、自分のキャリアに対するものなのかを整理するために使います。
転職市場と求人を確認する
転職すると決めていなくても、求人を見ることはできます。
現在の経験で応募できそうな求人があるか、年収や仕事内容、働き方がどのように提示されているかを見るだけでも、外の選択肢を把握できます。
転職サイトを使って自分で求人を探す方法もあれば、転職エージェントへ相談して市場の状況を聞く方法もあります。
転職エージェントへの登録が唯一の正解ではありません。
一人で求人を見ても自分の市場感が分からない場合は、転職すると決めていないことを伝えたうえで、相談してみるのも一つの方法です。
まだ転職を決めていない段階で相談するときの使い方や注意点は、次の記事で詳しく整理しています。
職務経歴書を更新する
会社の状況が本当に厳しくなってから、過去の仕事や成果をゼロから思い出すのは大変です。
平常時から、次のような情報を職務経歴書へ追加しておくと、必要になったときに動きやすくなります。
- 現在担当している業務
- 具体的な成果
- 成果を出すために工夫したこと
- 担当したプロジェクト
- マネジメントや育成経験
- 新しく身につけたスキル
職務経歴書を更新したからといって、すぐ転職活動を始める必要はありません。
自分がこれまで何をしてきたかを整理するだけでも、今の会社に残る価値や、外で使えそうな経験が見えやすくなります。
自分が外でも使える経験を整理する
会社名や現在の商品、社内だけで使う知識だけではなく、別の会社でも使えそうな経験を整理します。
私の場合は、営業、顧客との関係構築、チームマネジメントなどが次の会社にも持っていける経験でした。
同じ経験でも、職種や転職先によって評価される内容は異なります。
「この経験があれば必ず転職できる」と考えるのではなく、自分がどのような仕事で何をしてきたかを言葉にすることが目的です。
友人や社外の人に話を聞く
会社の中だけで考えていると、自社の状況が一般的なのか、特殊なのか判断しにくいことがあります。
信頼できる友人や元同僚などに話を聞くことで、他社や業界の状況を知れる場合があります。
場合によっては、自分では見つけられなかった会社や仕事を知るきっかけにもなります。
ただし、友人の意見だけで退職を決める必要はありません。
外から見た意見を、判断材料の一つとして使います。
会社の将来より、自分でコントロールできることを見る
会社の将来に不安を感じたときは、自分で変えられることと、変えられないことを分けて考えると行動を整理しやすくなります。
| 区分 | 具体例 | 自分が取れる行動 |
|---|---|---|
| 自分の管理下にないこと | 会社の倒産、日本市場撤退、経営判断、市場環境、会社方針 | 情報を把握し、起きた場合に備える |
| 自分の管理下にあること | 求人確認、情報収集、職務経歴書更新、経験整理、人への相談 | 自分が次に動ける状態を作る |
自分の管理下にないことを無視すればよい、という意味ではありません。
会社の状況や市場環境は、できる範囲で把握する必要があります。
ただし、自分では変えられない経営判断だけを考え続けても、次の選択肢は増えません。
会社がどうなるかを心配するだけでなく、自分で変えられる行動へ戻ることが大切です。
転職を考えるなら、次の会社で何を大切にするか整理する
今の会社に不安があるからという理由だけで、次の会社を決めるのは避けた方がよいと思います。
会社の将来性だけを見て転職すると、仕事内容や働き方など、別の重要な条件を見落とす可能性があります。
転職を現実的に考え始めたら、次の会社で何を変えたいのかを整理します。
- 仕事内容
- 事業やサービス
- 年収や待遇
- 勤務地
- リモートワークなどの働き方
- 家族との時間
- 今後積みたい経験
すべてを満たす会社を探すのではなく、自分にとって譲れない条件と、妥協できる条件を分けることが重要です。
転職先を選ぶ基準と優先順位の決め方は、次の記事で詳しく解説しています。
候補企業の将来性だけでなく、事業や顧客まで確認する
日本市場からの撤退を経験して以降、私は転職先を見るときに、会社名や求人条件だけでなく、次のような項目も確認するようになりました。
- 事業の成長性
- 顧客
- 市場
- 経営陣
- 会社や事業のフェーズ
- 資金調達や経営状況
- 事業撤退の可能性
ただし、資金調達額が大きい、採用を続けている、有名企業であるといった一つの情報だけで、会社の将来が保証されるわけではありません。
公開情報で分からないことは、面接やカジュアル面談などで確認する必要があります。
求人票、企業サイト、事業、顧客、口コミなどを使った企業研究の進め方は、次の記事でまとめています。
まとめ|会社の将来は選べなくても、次の選択肢は準備できる
会社の将来に不安を感じても、すぐに退職・転職する必要はありません。
一方で、不安を抱えたまま、何も確認せずに働き続ける必要もありません。
まずは、次のような準備から始められます。
- 自分が何に不安を感じているか整理する
- 転職市場や求人を確認する
- 職務経歴書を更新する
- 外でも使える経験を整理する
- 友人や社外の人へ話を聞く
私自身、外資系企業の日本市場撤退を経験しました。
当時、実際に転職活動を始めたのは、撤退と退職日が決まった後です。
しかし今振り返ると、会社の先行きに違和感を持った段階から、情報収集や職務経歴書の更新を始めてもよかったと思っています。
日本市場は撤退しましたが、その会社で得た営業やマネジメントの経験までなくなったわけではありません。
会社が続くかどうかと、自分がそこで積んだ経験を次に生かせるかは別の話です。
会社の将来は選べなくても、自分の次の選択肢は準備できます。
今すぐ転職するかどうかを決める前に、まずは自分でコントロールできることから始めてみてください。





