「今の会社からは転職したい。でも、次に何をしたいのかは分からない」
求人を見ても選ぶ基準がなく、転職活動を始められない人もいるでしょう。
やりたいことが決まっていなくても、転職先を選ぶことはできます。
いきなり「本当にやりたい仕事」を探すのではなく、次の4つから整理してみてください。
- 今の仕事で嫌なこと
- 次の職場で避けたいこと
- これまで得意だったこと
- 働くうえで譲れない条件
この記事では、やりたいことが分からない状態から、自分なりの仕事選びの基準を作る方法を解説します。
転職したいのにやりたいことがないのはおかしくない
転職を考える人全員に、明確な夢や目指したい職種があるわけではありません。
「今の働き方を変えたい」「この会社では続けられない」という気持ちが先にあり、次に何をしたいかまでは決まっていないこともあります。
仕事を選ぶ基準は、仕事内容への強い興味だけではありません。
- 生活に必要な収入を得られる
- 無理のない時間で働ける
- 経験や得意なことを生かせる
- 苦手な環境を避けられる
- 家族との時間を確保できる
こうした条件も、仕事を選ぶ正当な基準です。
「好きなことを仕事にしなければならない」と考えすぎず、まずは今より自分に合う環境を探してみましょう。
なぜ「何がしたいかわからない」状態になるのか
今の会社を辞めたい気持ちが先にある
仕事内容、人間関係、給与、残業などへの不満が強いと、「辞めたい」という気持ちが先に立ちます。
この段階では、次に何をしたいかより、今の状況から離れたいと考えるのは不自然ではありません。
ただし、不満の原因を整理せずに転職すると、次の職場でも同じ問題を抱える可能性があります。
知っている仕事の種類が少ない
世の中にどのような職業があるか知らなければ、その中からやりたいことを選ぶのも難しくなります。
自分や家族、友人が経験した仕事だけで考えると、選択肢が狭くなりがちです。
求人を見ることは、応募先を決める作業だけではありません。知らなかった仕事や働き方を知るための情報収集にもなります。
「本当に好きな仕事」を探そうとしすぎている
最初から天職や一生続けたい仕事を見つけようとすると、どの求人も決め手に欠けて見えます。
好きなことと、得意なこと、働きやすい環境は必ずしも同じではありません。
まずは「今より合いそう」「この条件なら続けられそう」という選び方でも構いません。
自分の強みを言葉にできていない
本人にとって当たり前にできることほど、強みだと気づきにくいものです。
- 説明が分かりやすいと言われる
- ミスが少ない
- 予定の調整が得意
- 初対面の人とも話せる
- 地道な作業を続けられる
こうした経験も、仕事選びに使える手掛かりです。
仕事内容と条件を一度に決めようとしている
仕事内容、給与、休日、勤務地、働き方をすべて満たす求人は簡単には見つかりません。
希望を一度に並べるだけではなく、「絶対に必要」「できれば欲しい」「なくてもよい」に分けることが大切です。
やりたいことがなくても仕事を選ぶ6つの手順
1.今の仕事で嫌なことを書き出す
最初に、転職したい理由を具体的にします。
| 項目 | 確認すること |
|---|---|
| 仕事内容 | 苦手な業務、負担が大きい業務は何か |
| 給与 | 現在の収入で生活上困ることはあるか |
| 勤務時間 | 残業、夜勤、休日出勤に問題があるか |
| 人間関係 | 上司、同僚、顧客との関係の何がつらいか |
| 評価 | 評価基準や昇給に納得できているか |
| 通勤 | 通勤時間や勤務地が負担になっているか |
| 将来性 | 経験やスキルが積み上がっているか |
「会社が嫌」だけで終わらせず、何を変えたいのかまで分解します。
2.次の職場で避けたい条件を決める
今の不満を、次の職場で避ける条件へ置き換えます。
- 残業が多い → 月の残業時間を確認する
- 休日出勤が多い → 年間休日と休日出勤の有無を確認する
- 個人ノルマがつらい → チーム目標の職場を探す
- 通勤が負担 → 通勤時間の上限や在宅勤務の有無を決める
- 仕事の進め方が合わない → 裁量や業務手順を面接で確認する
避けたい条件が分かれば、興味のある職種が決まっていなくても求人を絞れます。
3.得意だったこと・評価されたことを振り返る
「好きなこと」ではなく、「それほど苦にならずできたこと」も振り返りましょう。
- 上司や同僚に褒められたこと
- ほかの人からよく頼まれたこと
- 目標を達成できた仕事
- 時間を忘れて集中できた作業
- ほかの人より早く覚えられたこと
たとえば、調整が得意なら進行管理、説明が得意なら営業や教育、正確な作業が得意なら事務や管理業務など、別の仕事につながる可能性があります。
ただし、得意だからといって必ず好きとは限りません。今後も続けたいと思えるかまで確認してください。
4.働くうえで譲れない条件を3段階に分ける
次の表を使って、希望条件に優先順位をつけます。
| 優先度 | 意味 | 例 |
|---|---|---|
| A | 絶対に必要 | 年収400万円以上、土日休み、転勤なし |
| B | できれば欲しい | 在宅勤務、残業月10時間以内 |
| C | なくても応募できる | 服装自由、駅から徒歩5分以内 |
Aを増やしすぎると、応募できる求人がほとんどなくなります。
最初はAを2〜3個程度に絞り、それ以外をBとCへ分けると比較しやすくなります。
5.求人を見て「あり・なし」を記録する
何がしたいか分からないときも、求人を見て「これは違う」と感じることはあります。
気になった求人と合わない求人をそれぞれ数件見て、理由を記録してください。
- 仕事内容は興味がないが、働き方は合いそう
- 給与は高いが、転勤があるため難しい
- 未経験でも応募でき、今の経験も一部生かせそう
- 仕事は面白そうだが、休日が希望と合わない
求人を見る前には分からなかった条件が見えてきます。応募を決めなくても、情報収集として求人を見る価値はあります。
6.100点の仕事ではなく、今より合う仕事を探す
仕事内容、給与、休日、人間関係、勤務地をすべて理想どおりにするのは簡単ではありません。
100点の求人を待ち続けるより、現在の不満を減らし、譲れない条件を満たす仕事を探す方が現実的です。
今回の転職で何を改善したいのかを決め、残りは入社後の経験や次のキャリアで考える方法もあります。
無料の公的ツールで自己理解と仕事理解を進める
一人で整理するのが難しい場合は、厚生労働省が提供する無料ツールも利用できます。
job tagで知らない職業を調べる
厚生労働省の「job tag」では、仕事内容、必要なスキル、向いている人などから職業を調べられます。
職業興味検査、仕事価値観検査、職業適性テスト、キャリア分析などの自己診断機能もあります。
マイジョブ・カードで経験と価値観を整理する
「マイジョブ・カード」には、興味診断、スキルチェック、価値観診断があります。
キャリア・プラン作成補助シートでは、仕事を選ぶうえで大切にしたい価値観や、これまでの経験を整理できます。
診断結果は、職業を自動的に決めてくれる正解ではありません。自分では気づかなかった特徴や、調べる職業を増やすための手掛かりとして使いましょう。
やりたいことがないまま転職しても大丈夫?
転職してもよいと考えられるケース
- 今の職場で解決できない不満が明確になっている
- 次の職場で避けたい条件が決まっている
- 最低限譲れない条件を説明できる
- 求人や業界について情報収集している
- 転職によって失うものも理解している
具体的な職種名が決まっていなくても、選択基準があれば転職活動は進められます。
いったん立ち止まった方がよいケース
- 強い感情だけで今すぐ退職しようとしている
- 不満の原因が自分でも分からない
- 次の職場に求める最低条件を決めていない
- 生活費や転職期間を確認していない
- どの会社へ移っても同じ問題が起きそう
ただし、心身の不調やハラスメント、安全上の問題がある場合は、無理に働き続けることを前提にしないでください。医療機関や社内外の相談窓口、公的機関への相談も検討しましょう。
転職するか今の会社に残るか迷う場合
まず、現在の不満が転職によって解決する問題かを考えます。
| 不満 | 現職で改善できる可能性 | 転職で変わる可能性 |
|---|---|---|
| 給与 | 昇給、評価確認、異動 | 求人条件によって変わる |
| 仕事内容 | 担当変更、異動 | 職種変更で変わる |
| 残業 | 業務調整、部署変更 | 会社や職種によって変わる |
| 人間関係 | 異動、相談、距離の調整 | 変わるが、新しい職場でも発生し得る |
| 通勤 | 在宅勤務、勤務時間変更 | 勤務地選びで変えられる |
異動や働き方の変更で不満を解決できるなら、現職に残る選択もあります。
一方、会社の制度や仕事内容そのものが原因で、改善の可能性が低い場合は、転職によって状況を変えられるかもしれません。
退職を決める前に確認することは、次の記事で整理しています。
一人で考えても答えが出ないときはどうする?
家族や友人に、評価されたことを聞く
身近な人に「自分は何に向いていると思う?」と聞くだけでは、抽象的な答えになりがちです。
代わりに、次のように質問してみてください。
- どんなことを頼みやすいと思うか
- 自分がほかの人より得意に見えることは何か
- どのような環境で働いているときに調子がよさそうか
周囲の意見は参考になりますが、最終的な仕事選びを相手に任せないことも大切です。
転職エージェントやキャリア相談を利用する
一人で経験や希望条件を整理できない場合は、第三者との対話で考えを言葉にする方法もあります。
相談したからといって、その場で応募や転職を決める必要はありません。
ただし、相談先によって、求人紹介が中心なのか、キャリアの整理が中心なのかは異なります。
転職を決める前の相談先や、サービスごとの違いは次の記事で確認できます。
「求人を探す前に、自分の強みや転職軸をもう少し整理したい」という人には、自己分析から求人紹介まで一貫して支援するサービスもあります。
キャリナビ転職では、経験の棚卸しや強みの言語化、キャリアの方向性整理から支援すると案内されています。
自分だけでは考えがまとまらない人は、どんな支援を受けられるのか先に確認してみてください。
▼キャリナビ転職の特徴・向いている人をまとめた記事
転職サイトと転職エージェントを使い分ける
自分で求人を見ながら選択肢を広げたい人は転職サイト、担当者と相談しながら求人を探したい人は転職エージェントが候補になります。
違いを先に確認したい場合は、次の記事を参考にしてください。
よくある質問
やりたいことがないまま転職活動を始めてもよいですか?
情報収集から始めることはできます。
ただし、応募する前に、現在の不満と次の職場で譲れない条件は整理しておきましょう。基準がないまま応募すると、給与や知名度だけで選びやすくなります。
自己分析をしても何がしたいか分からない場合は?
「したいこと」だけでなく、嫌なこと、得意なこと、苦にならないこと、譲れない条件を整理してください。
job tagやマイジョブ・カードなどの公的ツールを使い、知らなかった職業を調べる方法もあります。
未経験職種を選んでもよいですか?
未経験から応募できる求人はありますが、興味だけで決めず、仕事内容、必要なスキル、給与の変化、教育体制を確認してください。
現在の経験から転用できるスキルがあるかも整理しましょう。
年収を基準に選ぶのはよくないですか?
生活に必要な年収を条件にすることは問題ありません。
ただし、年収だけで決めると、仕事内容、残業、休日、勤務地が合わない可能性があります。必要最低年収と希望年収を分け、ほかの条件と一緒に確認しましょう。
今の仕事を辞めてから考えてもよいですか?
退職後に考える方法もありますが、収入が途切れると焦って転職先を決める可能性があります。
心身の状態に問題がなく、在職中に情報収集できる場合は、先に選択基準と求人状況を確認しておく方が判断しやすくなります。
転職エージェントに相談だけしてもよいですか?
相談段階から利用できるサービスもあります。ただし、相談だけの利用が可能か、公式サイトや申込み前の案内を確認してください。
面談の最初に、転職をまだ決めていないことを伝えると目的を共有しやすくなります。
まとめ|やりたいことがなくても、仕事を選ぶ基準は作れる
転職先を選ぶために、明確な夢や天職を見つける必要はありません。
何がしたいか分からないときは、次の順番で整理してみてください。
- 今の仕事で嫌なことを書き出す
- 次の職場で避けたい条件を決める
- 得意だったことや評価されたことを振り返る
- 譲れない条件に優先順位をつける
- 求人を見て「あり・なし」の理由を記録する
- 100点ではなく、今より合う仕事を探す
それでも一人では整理できない場合は、家族や友人、公的ツール、転職支援サービスなどを利用して考えを言葉にしてみましょう。
「やりたいこと」より先に、「どのように働きたいか」が分かれば、次の仕事を選ぶ基準になります。






