転職したばかりなのに、「この会社は自分に合わないかもしれない」と感じることがあります。
せっかく転職したのだから、すぐ辞めるのはよくない。最低でも1年は我慢した方がいい。そう考えて、違和感を抱えたまま働いている人もいるでしょう。
私自身、国内SaaS企業へ転職した後、かなり早い段階で事業や仕事内容への違和感を持ちました。
それでもすぐには辞めず、事業への理解を深めるために勉強し、商談を重ね、上司にも相談しました。人事への異動を提案してもらい、会社に残る選択肢もありました。
そのうえで、最終的には約8カ月で退職し、別の会社へ転職しています。
転職後に違和感があっても、すぐに「転職失敗」と決める必要はありません。
一方で、勤続期間だけを理由に、合わない環境へ無理に残り続ける必要もないと思っています。
大切なのは、その違和感が時間や経験によって解消するものなのか、会社の中で改善できるものなのか、環境を変えなければ解消しにくいミスマッチなのかを分けて考えることです。
この記事では、転職先が合わないと感じたときに、今の会社へ残るか、もう一度転職するかを判断する方法を、私の実体験をもとに解説します。
転職先が合わないと感じても、すぐ「転職失敗」と決めなくていい
入社後に違和感を持ったからといって、その転職がすべて失敗だったとは限りません。
新しい会社へ入ると、仕事内容だけでなく、社内用語、仕事の進め方、使用するツール、人間関係など、多くのことが変わります。
まだ慣れていないことによる戸惑いと、自分の価値観やキャリアに関わる本質的なミスマッチが混ざっている可能性もあります。
そのため、違和感を持った直後に退職を決めるのではなく、まずは「何が合わないのか」を具体的に分けて考えることが必要です。
- 仕事にまだ慣れていないのか
- 聞いていた仕事内容と違うのか
- 上司やチームとの関係に問題があるのか
- 働き方や評価制度が合わないのか
- 事業やサービスそのものに興味を持てないのか
- 顧客が抱える課題に共感できないのか
原因によって、必要な対応は変わります。
一方で、「3カ月」「半年」「1年」などの期間だけを、残るか辞めるかの基準にする必要もありません。
心身に強い不調が出ている場合や、労働条件に重大な問題がある場合は、無理に様子を見続けず、医療機関や公的な相談窓口へ相談することも検討してください。
厚生労働省の「こころの耳」では、働く人の不安や悩みについて、電話・SNS・メールによる相談窓口が案内されています。
私は入社後かなり早く、事業への違和感を持った
会社の人やカルチャーには共感していた
私が転職した国内SaaS企業は、人やカルチャーに問題がある会社ではありませんでした。
入社前には、企業サイトや採用ページ、社員インタビューなどを確認し、採用イベントにも参加しています。
実際に働き始めてからも、会社のミッションや組織の雰囲気には共感していました。
人間関係が悪かったわけでも、会社から自分を否定されたわけでもありません。
それでも、自分には合いませんでした。
会社が悪いわけではなくても、自分に合わないことはあります。
事業・サービス・顧客課題に興味を持てなかった
私が最も違和感を持ったのは、経営管理や管理会計という事業領域でした。
商談や勉強を続ける中で、顧客が抱えている課題や、その課題を解決する自社サービスの価値を理解しようとしました。
しかし、知識として理解することはできても、次のような気持ちが自分の中から自然に出てきませんでした。
- この顧客の課題を解決したい
- このサービスをもっと広げたい
- この事業へ長期的に関わりたい
会社や人には共感しているのに、事業や顧客の課題には興味を持てない。その状態が、私にとって一番大きなミスマッチでした。
すぐには辞めず、勉強と商談を続けた
入社した時点では、短期間で辞めるつもりは全くありませんでした。
少なくとも年単位で働き、そこで経験を積むつもりで転職しています。
そのため、最初に違和感を持っても、すぐに再転職を考えたわけではありません。
- 管理会計や経営管理について勉強する
- 商談を重ねる
- 顧客が何に困っているのかを理解する
- 自社サービスの価値を自分なりに整理する
こうした行動を続ければ、仕事への理解が深まり、事業への興味も生まれるかもしれないと考えていました。
しかし、勉強や商談を続けても、事業領域に対する感覚は大きく変わりませんでした。
事業への違和感と成果面の停滞が重なり、再転職を考えた
私が転職を考えた一番の理由は、成果が出なかったことではありません。
最初にあったのは、事業、サービス、顧客課題への違和感です。
その違和感を解消するために勉強や商談を続けましたが、事業領域への興味は大きく変わりませんでした。そこへ成果面の停滞も重なり、この会社で長く働くことを考え直すようになりました。
約2カ月、成果の好循環へ乗り切れない状態が続いた
働いている途中で、会社全体として短期的なプロジェクトが始まりました。
その中では、実績のある営業担当へ、成果につながりやすい案件が積極的に回る状況になりました。
私は約2カ月、良い成果サイクルへ乗り切れない状態が続きました。
ただ、それだけが転職を考えた理由ではありません。
もともと抱えていた事業への違和感に、成果面での停滞が重なったことで、長期的に働くことへの疑問が強くなりました。
この会社で長く働くことを考え直した
最初は、「自分がまだ仕事に慣れていないだけかもしれない」と考えていました。
しかし、事業への違和感が解消せず、営業として成果を出す好循環にも乗れていない状態が続く中で、次の疑問を持つようになりました。
このままここで長く働くことが、本当に自分のキャリアにとって良いのだろうか。
事業への違和感だけであれば、もう少し続けていた可能性もあります。
しかし、事業への興味の弱さ、成果面での停滞、この状態が今後も続く可能性が重なり、再転職を現実的に考え始めました。
年末年始に、別の会社で働いていた友人へ連絡したことが、次の転職へ向けて動き始めるきっかけになりました。
会社に残る選択肢もあった。それでも転職を選んだ
上司へ相談すると、人事への異動を提案してもらった
転職を考える中で、私は上司へ自分の状況を相談しました。
上司からは人柄を評価してもらい、人事への異動を提案してもらいました。
その提案はありがたく、会社の中で別の役割を選ぶ道もありました。
つまり、会社に残る選択肢がなかったわけではありません。
職種を変えても、事業との相性は解決しないと考えた
それでも私が転職を選んだのは、営業という職種だけが合わなかったわけではないからです。
人事へ異動すれば、仕事内容は変わります。
しかし、その頃には、次の会社で何を大切にしたいのかが自分の中で見え始めていました。
私が求めていたのは、単なる職種変更ではなく、自分が興味を持てる事業やサービスで働くことでした。
そのため、人事へ異動して今の会社に残るよりも、自分の転職軸に合う会社で、もう一度キャリアを作り直したいという気持ちの方が強くなりました。
会社の人やカルチャーが好きでも、事業や顧客に興味を持てなければ、私の場合は長く働き続けることが難しかったのだと思います。
改善できる違和感と、本質的なミスマッチを分けて考える
転職先が合わないと感じたときは、その違和感を一つにまとめず、原因ごとに分けて考えることが重要です。
ただし、ここから紹介する分類は絶対的なものではありません。同じ違和感でも、本人の経験、価値観、役割、上司、部署などによって改善できる可能性は変わります。
あくまで、自分の状況を整理するための一つの判断材料として考えてください。
時間や経験で解消する可能性がある違和感
- 新しい仕事の流れに慣れていない
- 社内用語や使用するツールを理解できていない
- 入社直後で周囲との関係ができていない
- 前職との仕事の進め方の違いに戸惑っている
- 求められている役割をまだ理解できていない
これらは、仕事を経験し、周囲とコミュニケーションを重ねることで、少しずつ解消する可能性があります。
相談や役割変更で改善できる可能性がある違和感
- 担当業務が入社前の想定と違う
- 上司とのコミュニケーションが合わない
- 業務量や目標設定に無理がある
- 担当する顧客や業務範囲が合わない
- 部署や役割が自分の強みと合っていない
- 出社頻度などの働き方が希望と違う
こうした問題は、上司への相談、担当変更、役割変更、部署異動などで改善できる場合があります。
すぐに退職を決める前に、会社の中で変えられる余地があるかを確認する価値はあります。
環境を変えなければ解消しにくい場合もある違和感
- 事業そのものへ興味を持てない
- 顧客が抱える課題へ関心を持てない
- サービスが提供する価値に共感できない
- 会社の根本的な価値観と自分の考えが合わない
- 自分が今後積みたいキャリアと大きくズレている
仕事内容や部署を変えても、会社が扱う事業や顧客が大きく変わらない場合、社内異動だけでは解消しにくいこともあります。
ただし、事業に興味を持てないから、必ず転職した方がよいという意味ではありません。
私の場合は、勉強や商談を続け、社内異動の選択肢まで検討しても、事業、サービス、顧客課題への興味の弱さが残りました。そのため、環境を変える方が自分には合っていると判断しました。
8カ月で再転職することへの不安と、面接で伝えたこと
私が国内SaaS企業へ入社したのは2023年8月で、退職したのは2024年3月です。在籍期間は約8カ月でした。
ただし、私は8カ月という期間を基準に、退職を判断したわけではありません。
事業への違和感を整理し、勉強や商談を通じて理解する努力を続け、上司へ相談し、社内異動という選択肢まで検討したうえで再転職を選びました。
8カ月で辞めればよいという意味でも、8カ月働けばミスマッチを判断できるという意味でもありません。これは、あくまで私が判断するまでにかかった期間です。
「またすぐ辞める人」と思われるのが怖かった
再転職を考えたときには、次のような不安がありました。
- 次の会社に本当に入社できるのか
- 「またすぐ辞める人」と思われないか
- 忍耐力がないと判断されないか
- 短期離職によってキャリアに傷がつかないか
- 次の会社でも同じ失敗を繰り返さないか
短期離職を選ぶことに、不安がなかったわけではありません。
一方で、その頃には、自分が次の転職で何を大切にするのかが明確になっていました。
短期離職を隠さず、学んだことと次の転職軸を説明した
次の転職活動では、約8カ月で退職することを取り繕うのではなく、次の順番で説明しました。
- なぜその会社へ入社したのか
- 実際に働いて何が合わなかったのか
- その経験から何を学んだのか
- 次の会社では何を大切にしたいのか
私の場合は、短期離職という事実だけではなく、なぜ辞めるのか、次の会社選びで何を変えるのかを自分の言葉で説明しました。
結果的に次の会社へ転職できましたが、同じ説明をすれば誰でも選考に通るという意味ではありません。
ただ、今振り返ると、在籍期間だけでなく、退職理由と次の選択を一貫して説明できるようにしておくことは重要だったと感じています。
短期離職や転職回数が選考でどのように見られるのか、退職理由をどう説明するか不安な人は、次の記事も参考にしてください。
満22〜29歳で、早期離職するべきか迷っている人や、次の転職理由を一人で整理しきれない人は、「20代の転職相談所」も選択肢です。
早期離職や2回目以上の転職など、状況に合わせた相談コースがあります。支援内容や無料会員登録の対象条件は、次の記事で整理しています。
今ならこの順番で、残るか再転職するかを判断する
今、同じように転職後の違和感を持った場合、私は次の順番で状況を整理します。
- 違和感の原因を具体的に分ける
- 時間や経験によって解消する可能性を考える
- 仕事内容や役割だけの問題なのか確認する
- 事業・サービス・顧客そのものに興味を持てるか確認する
- 上司や会社へ相談して改善できるか確認する
- 異動や役割変更で解決できる余地を考える
- それでも数年間この仕事を続けたいと思えるか考える
- 年収、働き方、勤務地などが自分の転職軸に合っているか確認する
- 家族や生活への影響を考える
- 次の転職先が本当に今より自分に合っているか確認する
特に重要なのは、今の会社を辞めることだけを目的にしないことです。
転職先が合わなかった原因を整理しないまま次の会社を選ぶと、同じミスマッチを繰り返す可能性があります。
私の場合は、この経験から、会社や人だけでなく、次の項目も転職先選びの基準へ加わりました。
- 事業やサービスに興味を持てるか
- 顧客の課題を自分も解決したいと思えるか
- 仕事の成果を生活の中で実感できるか
その後、食品やモビリティなど、自分の仕事が生活の中でどう役立っているのかを実感しやすい事業の方が、仕事へのやりがいを感じやすいと分かりました。
私はこの感覚を「事業の手触り感」と考えています。
再転職する場合に、次の会社で何を重視するか整理したい人は、次の記事で転職先を選ぶ基準と優先順位を解説しています。
転職軸を整理した後は、その条件が候補企業と本当に合っているかを確認する必要があります。
求人票、採用ページ、社員の発信、顧客情報、面接での質問など、候補企業を調べる方法は次の記事で解説しています。
まとめ|会社が悪くなくても、自分に合わないことはある
転職先が合わないと感じても、すぐに「転職失敗」と決める必要はありません。
一方で、勤続期間だけを理由に、合わない環境へ残り続ける必要もないと思っています。
- 違和感の原因を具体的に分ける
- 時間や経験で解消するものか考える
- 上司への相談や役割変更で改善できるか確認する
- 事業や顧客との相性も確認する
- 再転職する場合は、今回の経験を次の転職軸へ反映する
私は約8カ月で退職した判断自体を、現在は後悔していません。
ただし、短期離職したこと自体が良かったと考えているわけではありません。
実際に働いたことで、会社や人だけではなく、事業、サービス、顧客との相性も自分にとって重要だと分かりました。
次のモビリティ領域で働いたことで、自分は生活の中で価値を実感できる事業に、やりがいを感じやすいことも確認できました。
会社が悪いわけではなくても、自分に合わないことはあります。
転職後の違和感を一つずつ分け、今の会社で変えられることと、環境を変えなければ解決しにくいことを整理したうえで、残るか再転職するかを判断してみてください。






